日本財団 図書館


 

村に昨年10月末に立派な神楽殿ができ上がったのです。
ところが、ここの村の人は一切報酬をとらないんです。何をもらってきたかというと、三十三座徹夜で舞い終わった後、神殿に供えたご飯を1膳いただく、これだけでやってきたんです。今でもそうなんです。私、神楽をつくってもらったんだから、入場料を取ってやったらどうだと、ここの維持のためにも。ところが、今それで悩んでいるんです。そして、今、先ほど話した清和村の文楽人形芝居と、向こうは文楽、こっちは神楽で、「楽楽フェスティバル」とか何とかというので清和村の劇場でやろうということになっているんです。清和村は今、毎週土、日が定期公演なんです。ですから、100円か200円でも入場料をとってます。そこへ、たったご飯1膳もらうのが行くわけです。で、この入場料をどうするかと、今そういうことで考えている。非常に純粋なところもありまして……。
村井委員 それは本当に芸能が生きているということですね。
鈴木委員長 そうなんですね。
津田委員 本物って感じですね。
村井委員 そのあたりなんですね。鈴木さんは、外に引っ張り出された上、復元をされた。だからすぐに引っ張りだすというのとはちょっとわけが違うと思います。
そういうときに大事なのは、子供のときから体験させるということなんでしょう。ところが、学校教育では、そういうことは学校の授業時間以外でやってくださいとか、その日は登校日なので休日はやめてくださいとかいう。あるいは、行政がかかわると、A地区、B地区、C地区とあれば、A地区だけに補助するわけにはいかない。公正、バランスが大事だということで結局何もやらない。その地域に即した文化という芸能、祭りなら祭りというものを育てるという形ではなくて、行政のほうも学校教育も一歩も二歩も退いた形でかかわろうとする。むしろそういうことにかかわるのはぐあいが悪いんだという意識さえ出てきている。そのあたりが、特に行政がかかわるときに心しないといけないことで、公平を保つということは確かに理屈としては悪いことではないんですが、そのために何かがどんどん失われてしまうということがあるように思います。
鈴木委員長 今の伝承芸能の大半は戦争で中断しているんです。これは、大体昭和28年から30年ぐらいが一つの山。それから、昭和36年ぐらいが一つの山で大体戦後復興したというのが大部分なんですね。それは、京都の祇園祭りとか博多の祭りとか、ああいうものに至っても戦争中は一度中断しているわけですね。だけど、熊本県の三加和町の山森神社にありました「子供神楽」は子供だけでやってきたから全然中断がなかったんですね。で、私が調べに行ったら、そこの、当時90歳の神主さんに出会いまして、そこの家系図を調べたら、鎌倉時代、正治2年からの家系図が出てまいりました。で、物置を探したら享保12年と裏書きをしたお面が出てまいりましたので、これは間違いないと思って、それで子供

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION